―― 樹木や神話の研究を始めたきっかけを教えてください。
この質問よくされるのですが本当に困ってしまいます。気がついた時には、木とともに生活していたという感じでしょうか。幼い時から、木に話しかけたり、木に寄りかかって時間を過ごしたりしていました。漠然とした記憶ですが、その頃から植物たちと話をするということは自然とやっていたように思います。それから月日が経って20代の頃になると、植物が自分にメッセージを発信してきているのを確かに感じるようになっていきました。
喫茶店にぽつんといたポトスに「触って、触って」と声をかけられたり、家で育てている小さなカポックが嫉妬してほかの植物を弱らせてしまったり。植物たちはまるで人のように感情をあらわにしてくるので、木とは心が通じ合うと思うようになりました。
そんな風に植物を好きになっていく過程で、ある農学博士との出逢いがありました。その先生に「植物とは心が通じ合いますよね?」と質問を投げかけて、植物によって性格が違うことや植物と心を通わせる話し方など、たくさんのお話をさせていただきました。その先生との多くの語らいは今の自分がある上で大きな時間でしたね。それから、「他の人はどうなんだろう?」という疑問から木にまつわる文献や神話、伝説を読み始めて研究を深めていきました。

北欧神話に出てくる宇宙樹はトネリコの木とくに心に響いたのが『宇宙樹』という存在です。『生命の樹』とも呼ぶのですが、「天と地を大きな木が貫いて、私たち人間はその一本の木に支えられて生きている」という考え方が世界中にあることを知りました。たとえば、シベリア地方ならモミの木、インドだったらボダイジュの木、北欧ならトネリコの木など、神々のように称えられる木が世界各地にあるんですね。日本でもご神木として大切にされている木はたくさんあります。人間よりもはるかに長く生きる木は、とても強い生命エネルギーを私たち人間に与えてくれます。優しいだけではない力強く前に進む力というようなもの。自分というひとりの人間が、遠い昔からつながってきた尊い命なのだということを宇宙樹が教えてくれました。
そのうちに世界中の木たちが生きるためのメッセージを教えてくれるようになりました。自分の意思とは関係のない、導きとしかいいようのない形で、「ケルトの守護樹神話」とも出会うことになり、これはもう木が私に「この地球上に生きる木たちのメッセージを世の中の人々に伝えなさい」といっているのだと感じ、『木精占い』の本を書くところまでいたったのです。だからきっかけとかはなく、木に導かれて自然とこうなっていったのです。
―― 私たちは今後、植物とどのように接するべきでしょうか。

シベリア地方での宇宙樹、モミの木多くの人が、木や花が自分を元気づけてくれたり、家で育てている植物が自分を救ってくれたりすることを漠然とは気づいていると思います。私は悲しいことがあると、家の近くの大きなイチョウの木に会いに行きます。背中をつけて目を閉じて、イチョウに語りかけていると、「大丈夫ですよ」という声が聴こえてきて、心がすーっと落ち着いてきて、涙がほろっとこぼれます。どうしたらいいか少しずつわかってきます。多くの人にそんな“自分の木”を見つけてほしいと思っています。お花を買ってくるのでもいいんです。「今日は落ち込んでいるから真っ赤なバラを飾って元気になろう」とか「イライラしているからピンクのガーベラで心を癒そう」とか。自分の生活の中でちょっとした工夫でいいから、木や花の力をいつも身近に感じられると、悲しい時や孤独感でいっぱいになった時でも、前に一歩踏み出して社会に出ていくヒントや力になっていくと思っています。
今の世の中、何かあった時に現実逃避をしてしまい、前に向かって歩いていくことが困難な人々が増えてきています。それが現代病である欝や不眠症などの形になって現われている場合も多いですね。「木」は自分自身の中にある本質、魂というべきものをまず、信じる力をくれます。そして、現実社会の中で自分で選択して、どうやって前を向いて進んでいくかを決められる魂へと導いてくれます。なぜなら木は大地に強く根ざし、天高く枝を伸ばし、地球から多くの力を受けて育っているのですから。そして人間というのは木と違って、歩いてどこへでも行ける生命です。人間は歩く木、自分の生きたい方向にしっかり根ざして歩いていける人が増えることを心から願っています。
関連リンク:木精占い
ブログ:木精からのメッセージ















