伊豆の観光地として知られている伊豆高原の南に、太平洋に面した森がある。それは「赤沢」。
私とパートナーのティム・マクリーンが心惹かれ、住居と仕事場を構えるようになって10年。
家から南方向へ、赤沢海岸まで歩いて10分ほど。散歩の時はなぜかいつも足が浜辺へと向かう。
地元の民家の脇を通り、季節毎の花々や美しい枝ぶりの木々にいつも魅せられつつ、海岸への坂道を降りていく。

正面に緑豊かな山々。大きい空。青い海。「赤沢」という名前の由来を彷彿とさせる赤い肌の地層。


かつてネイティヴ・アメリカンのメディスン・ウーマンに、裸足になると、足の裏から直接に大地の生命力をもらうことができると教わった。
なので海辺で裸足になり、大地からエネルギーが上がってくるのを感じるのが私の健康法。そしてストレッチング、時にヨガも。

仕事の疲れやストレスが溶けていく瞬間。

浜辺で相撲をとる子供たちもいる。なんて健康的!

裸足で砂浜を歩いた後は、海辺の無料露天風呂(温泉)に足をひたしながら、何て平和なんだろう、そしてここに住んでいてよかったとしみじみ実感。
もうひとつの散歩コースは、赤沢海岸とは逆の北の方向に、森の中の道を海沿いに辿る。ゆっくり歩いて片道1時間ほど。かつては神社が所有していた、鎮守の森だったという。
海岸沿いに無数のパワースポットがある。暖かな日差しを浴びながら瞑想できるところ。
断崖絶壁にあり、昔の人なら神を祀っていたとしてもおかしくない神秘的な場所。海から風が上がってきて、いつも涼やかな「風の谷」。


日暮れから夜明けまで、ネイティヴ・アメリカンの自然の中の行、「ヴィジョン・クエスト」をしていたら、夜中にイルカが呼吸の音と共に訪れた「イルカ・ポイント」、数百年から千年に及ぶ樹齢のヤマモモの群生。ティムが海の中を泳いでいるウミガメに遭遇した「ウミガメ・ポイント」、虹の反射が海面に映るところ・・・。
なにせ自然の中のこと、正式な地図があるわけでもなく、自分が勝手に地名を付ける楽しさ。宝の地図のように、自分がつけた地名を書き込んだ地図をつくってみましょうか。
この一帯は、ヤマモモの北限として、学術的にも貴重な群生が認められている。ヤマモモの実は、「表」と「裏」の年がある。「表」の年は、おびただしいほどの赤い実が、緑の葉と葉の間から顔を覗かせている。生命の豊かなしるし。
ヤマモモは熟すと地面に落ちる。そこらじゅうに赤い実が落ちて、しばらくすると発酵した匂いが立ちこめるほど。枝から実を取って、口に放り込む幸せ。かつて、子供たちのおやつは、店で買うよりも、自然の中にある果実であることが多かった。自然の中を飛び跳ねるように移動し、自分の手で果実を取って食べる幸福な日々。ヤマモモは昔、年貢代わりに納められた貴重品でもある。樹皮は染め物に使い、実は胃腸薬ともなったという。

樹齢を重ねたヤマモモは、独特の存在感を発している。樹皮は、ケルトのような文様を描いている。
伊豆高原は特別な気配に満ちた場所が無数にある。ピンポイント的に観光地を巡っていては出会うことができない。意外と地元の人でもそのことを知らない。
文:高岡よし子
写真:ティム・マクリーン
http://www.transpersonal.co.jp














