SQな場所 - 京都駅ビル

京都駅ビル

京都駅ビル古都・京都の玄関口である京都駅は、人の流れも途切れることがない。乗り降りする人の数は駅全体でみると1日平均で60万を超えるという。

初めてこの京都駅構内に立った時、ダリの「サンチャゴ・エル・グランデ1957年」という絵のイメージが私の中では重なった。その絵の画面の背景全体を大きく覆う聖堂のような構造のダイナミックさと、京都駅ビルの見上げて圧倒されるような、ちょっとした爽快感のような感覚がつながった。

この感覚を一番味わえるのは、中央改札口を出たあたりだろう。周囲はせり上がり、この場所は吹き抜けになっていて、巨大なドーム状の天井は高く、まるで上から大きく覆い被さってくるようだ。幾何学的な線と曲線が重なり合い、幾つもの層を形作っている。天井や側壁の骨組みの向こう側には、青空までもが見えている。

この建物は、他にも凝ったつくりがあちこちに見られ、場所場所によって様々な異なる表情を見せてくれる。機能的なだけでなく、人を楽しませる要素もたくさん盛り込まれており、作者の遊びごころが感じられる。ビル内の所々にオブジェも設置されており、形も鮮やかな色も印象的で目を楽しませてくれる。

京都駅ビルまず中央改札口から左の方(南北自由通路がある西側(伊勢丹側))に見えるのは、どこまで昇っていくのだろうというような、ひたすら上の方まで続いている広い階段だ。階段を椅子代わりに寛ぐ人達の姿もある。憩う人とせわしなく通り過ぎる人の波との取り合わせが面白い。「大階段」と呼ばれるこの階段には、親切にもひたすら同様に上へ上へ昇っていくエスカレーターも並んで設けられている。こんなに続いてるとその先がどうなっているのか気になってしまう人は少なくないようで、皆この勾配感のあるエスカレーターに次々と乗っていく。一番上まで辿り着くと、そこは「大空公園」になっている。

大階段側から逆側には「烏丸小路」「東広場」がある。(大階段側から見て蝶のような形のオブジェが見える所が「東広場」)中央改札口前のスペースから見上げた頭上高く横切る通路は「空中経路」。建物の東西を大きく結んでいる。途中には周りを見渡せる展望スペースも設けられている。「烏丸小路広場」から上がったところにある「東広場」には、空中経路へのエスカレーターがある。西側の出入り口は伊勢丹側10階の「京都拉麺小路」にある。

京都駅ビル大階段の手前(4階)は「室町小路広場」という空間になっている。ここも天井が高く、空間が切り取られているような眺めが面白い。その向こうには「南広場」があり、大階段があるこちら側からはちょうど逆側に見えていた「烏丸小路広場」までつながっている。室町小路広場から南側に階段を降りると日当たりのいい「南遊歩道」に出られる。南広場や南遊歩道からは新幹線や近鉄線のホームが見下ろせる。この辺はのんびり歩いたり辺りを眺めたりするのにいい場所だ。

京都駅ビルの階数は地上16階、地下3階にわたる。建物のつくりは大きく東西に分かれており、鉄道施設のみでなくデパートや劇場、専門店街、劇場、ホテルなどが入った複合施設である。平安建都1200年記念事業の一環として建てられた現在の駅舎は、初代から数えて4代目に当たるという。設計は国際指名コンペ方式で行なわれ、原広司氏の案が最終的に採用された。1997年にオープン。

多くの場合、ここは出発地と目的地との間にある、途中の地点だろう。とはいえ目的地に向かうために、急いで慌しく行き過ぎてしまうだけではもったいない。目的地へ移っていく途中のほんのひととき、この辺りの1画で、ほんの少しの間でも、気持ちを休ませたり遊ばせたりすることができる。そこの角を曲がれば、もう1段上へ上がってみれば、意外な風景に出会えるかもしれない。雑踏の中からほんのしばし抜け出して、ぽっかりと空いた時間を楽しみたい。


(取材・文:テジマアキ)

京都駅ビル

アクセス:
「大階段」「大空広場」… 中央改札から見て左側(南北自由通路、伊勢丹側)
「東広場」「烏丸小路」… 中央改札から見て右側(京都劇場、ホテルグランヴィア側)
※空中経路の通行は朝10時から夜22時まで。

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