京都駅で手に取ったちらしの中に、美しい景色の写真を見つけた。その景色の中に身を置いてみたくなって、このお寺を訪ねることにした。
青連院は、京都の中でも特に寺社が多い東山と呼ばれる地域に位置している。
訪れた門の前でまず出会えるのは、伸び伸びと見事に枝を広げた大きなクスノキだ。明るい緑の葉が陽の光を透かしている。これは親鸞聖人のお手植えと伝えられ、樹齢800年ほどにもなる樹だという。
青連院の起こりは平安時代にさかのぼり、伝教大師最澄が比叡山を開いた時、幾つかの住坊を山上に作った、その1つの「青蓮坊」に始まる。本尊として熾盛光如来曼荼羅(非公開)をおまつりする。熾盛光如来とは、天空で唯一不動の軸星である北極星を指し、光そのものなのだという。この熾盛光如来を本尊とする寺は日本では青連院のみ。
このお寺では、静かな時間を味わいつつ、こころゆくまで過ごすことができる。
渡り廊下からは、視点によって表情を変える庭園の姿が楽しめる。部屋の一角に坐ってゆったりと眺めるのもいい。静かで趣のある佇まいの中に、急かされることもなく、存分に身を置くことができる。薄暗い屋内と、明るい光に満ちた外の景色との対照は美しく、外の鮮やかな緑がいっそう映えて目に入ってくる。
ここでは「一隅を照らす」という言葉に再び(大原・三千院の「照于一隅」に同じ)出会った。そのような人を育てたいと願う、伝教大師最澄の言葉だと知った。
春の花の季節と紅葉の季節には、光そのものである本尊の熾盛光如来や、本堂にまつられている青不動尊にちなんだ、夜間ライトアップも行なわれる。青く幻想的に照らし出された夜の姿も一度見てみたいものだ。
殿舎内をひととおり巡って参拝した後は、外へ出て、先ほどまで中から見えていた回遊式の庭園を歩いて巡ることができる。今回はちょうど咲き始めた梅に出会えたが、ツツジや萩、紅葉など、四季折々に移り変わる庭の姿に出会うことができる。
拝観を終え、門の外へ出て、再びクスノキの大木を仰ぎ見る。この姿は、緑豊かな青蓮院の門前に本当にぴったりだと感じられた。
(取材・文:テジマアキ)














