■岩船寺:
(写真:岩船寺山門)
(写真:秋の花咲く境内)
岩船寺は花のお寺として知られている。
四季折々に、
春 ― 桜、つつじ、みやこわすれ
夏 ― 紫陽花、睡蓮、百日紅
秋 ― 紅葉(11月下旬)
冬 ― 梅、みつまた、椿 などの姿が楽しめる。
(写真: 池の奥に三十塔)
境内の更に奥へと続く小道を登っていくと、木立に囲まれた小さい空間が出来ていて、休憩所になっていた。木漏れ日の下に、ベンチがいくつか置かれている。腰掛けて空を見上げると、秋の雲がゆったりと流れており、足元からは草陰で鳴く虫達の声が聞こえてくる。ときおり鳥が賑やかに鳴き、柿の実が地面に落ちる音がしたりしている。音も立てずにトンボがベンチにとまった。
岩船寺の前と浄瑠璃寺までの道端には、農作物の直売所がいくつもあり、目を楽しませてくれる。
この辺りは当尾の里と呼ばれ、ところどころに石仏が点在している。辺りは白いソバの花やコスモスが風に揺られていた。
■浄瑠璃寺:
コスモスが両側に咲き乱れる参道を行き、門をくぐった先には、日溜まりの中に明るい池が広がっている。周囲のススキやワレモコウ、秋明菊、ホトトギス、コスモスなどが季節の移り変わりを改めて感じさせる。ここもまた、四季の花を楽しめるお寺としても知られている。
この池を含み、境内全体の伽藍配置自体が過去~此岸~彼岸を表わしているのだという。実際に彼岸の中日である春分の日・秋分の日には、東方三十塔の位置から太陽を見ていると、西方浄土からの来迎仏をまつった西方九体阿弥陀堂の中央の奥に、太陽が沈んでゆくそうだ。寺名の「浄瑠璃」とは、澄みきった静寂と清浄の理想界をさす。
この日公開されていた西方九体阿弥陀堂は横に長い作りで、お堂の中には文字通り9体の阿弥陀仏がまつられている。一列に並び静かに座す阿弥陀如来像は、鈍く輝き、重厚なちからを感じさせる場になっている。かつてこういったお堂は競って建立されたらしいが、現存するのはここ浄瑠璃寺のみだという。
ちょうど秘仏の吉祥天女立像が秋季公開されていた。小さな像だが、まるで花が咲いたような優美さと同時に、凛とした強さを放っているようでもあった。像の前には様々な秋の野草がていねいに捧げられており、これもこのお寺や像の雰囲気を象徴しているようで印象深かかった。
(写真:売店奥にて)
(取材・文:テジマアキ)














